私の中の「あなた」の話

ある時、母に聞いた。
「私の名前ってなんで〇〇なの?」
「名前に理由はないけれど、つけたことに理由があるの」
そう言って話してくれたことを、たまに思い出す。

「親は子供よりも早く死ぬでしょ。そしてあなたの兄も歳が離れているから、すぐ兄は大人になってここを離れて、別の家庭を持つかもしれない。歳の離れた兄妹だから、あなたたち二人が大人になって別々の生活をすることになったら疎遠になるかもしれない。でも、私たち両親が死んだ後も困った時は二人で助け合ってほしいと思ったの。『名前をつけた・つけられた』があなたたち兄妹が繋がっている理由の一つになりますようにと思って。だからあなたの名前を決める時、お兄ちゃんにつけてと頼んだんだよ」

あれから歳月が経って、この話を思い出した日があった。
「あなたは『なえ』ね」
黒髪ロングに毛先が黄色、大きなひまわりを胸に飾って、黒い衣装をはためかせて歌っていた人から名前を付けられた日だった。
糸で結ばれたような感覚になりながら母親に言われたことが脳裏に浮かんだ。
名前をつけられたなら、それなりに長い関係になっていけばいいなと思った。

 

ぺいちゃんへ

今も変わらず、私の中のぺいちゃんは「名前をつけてくれた人」です。
それはただ名前をつけてくれたんじゃなくて、すごく意味のあることだったと感じています。
あなたが向日葵ならば、私に種を蒔いた日はこの日だったのかもって思います。

旧体制の時、二丁魁に推しがいない私が特典会に行くと、ぺいちゃんはよく私の隣に来ました。私のほっぺを両手で持って「服可愛いね」「楽しかった?」と聞いてきた日もありました。

あなたが私に与えた種がどこかにいかないように土をかぶせてくれたのは、そういう日々の連続だったのかもしれません。

私がなえの名義で初めてブログを書いた日、すごくニコニコして私の顔を覗き込んでいました。「セーラームーン」と、ブログに書かれた単語を繰り返し呟いていたのが可愛かったです。嬉しそうに私の肩に手を置いて、近いなって思いつつ、嬉しかったんだなってすごく伝わってきました。別れ際、「文豪!!」と呼んできたのも面白かったです。変なの、変なあだ名って思いながら、ぺいちゃんにとって大切な文章になっていたんだなと思いました。

あなたが向日葵ならば、私があなたに水や太陽の光を届けることができたのはこの日が初めてだったと思います。

出会って初めて迎えた秋頃、手紙をしたためたことがありました。大した内容じゃなかった気がします。でも私からの手紙を受け取ると、封筒をじっと見つめながら読んでもいないのに
「あなたの書く文章には力があるよね」
「そんなことないよ」
「そんなことあるよ、すごいよ」
断言されたこと、信じられていたことに帰りに涙がポロッとこぼれたことを覚えています。もう3年前くらいの話だけど、今も変わらずそう思ってくれているんだなってたまに思います。

あなたが向日葵ならば、それはどんな時もこちらを向いてくれる黄色い眩しい花でした。

2019年のぺいたんで、「あなたたちの愛は一人の人間の人生を変えたくらい、すごいことなんだよ」と語る姿が印象的でした。ぺいちゃんはおなカマからの愛情を本当に大切にしてくれている人で、うまく言えないことですらも掬い取ってくれる人で、その姿にこちらが救われていたのにさらに「すごいこと」と自分の中に大切に保管してくれているんだと思いました。
あの日歌ったカエルのうたで一面に咲いた黄色い光が今も私にとって大切です。誰かを好きになること、その好きを届けること。巡り巡って光になったあの光景に、「すき」って大切な感情だと知りました。

あなたが向日葵ならば、あの日の光、一つひとつは今まであなたが蒔いた種から咲いた向日葵だったと思います。

 

時が経って、私は現場に行かなくなりました。
ぺいちゃんが初めて蒔いてくれた種は、咲いた後、しなしな〜と首を折ってしまったのは私のせいだなと思います。コロナ禍に入ったことも重なり、どう接していけばいいかわからなかったです。ごめんねと何回か謝ってきたけど、やっぱり謝っちゃうや、ごめんね。でもぺいちゃんが名前をつけてくれてよかった。
「名前をつけてくれた人に会いに行く」は、立ち止まった足を動かす理由の一つになったからです。

あなたが向日葵ならば、あなたがくれた種が花開いてそれが枯れてしまっても、そこにたくさんの種が落ちます。

 

再び出会ってから約一年ちょっと、いろいろありました!
たくさんの言葉をかけてくれました。
「嬉しいよ、また来てくれるようになって。ずっと待ってたんだよ!」
「あなたの感想がもっと見たい」
「あなた、筆村推しじゃない?」
「今日のあなた、楽しそうにライブ見てた」
「あなたの拍手が嬉しいの」
「大変なことあるよねぇ」
「これからもたくさん愛してね」
いろんなライブを見たし、その都度見守ってもらっていたなと思います。
推しがいなかった私に推しができそうだと察して、一番に指摘してきたのもぺいちゃんでした(私自身も気がついていなかったのに!!)。あの日だって種を蒔いてくれたんだと思う。
ぺいちゃんは人の些細な変化によく気がついてくれると思います。
私のことなのに私よりも知ってそうだなと思う瞬間があります。だから言葉を選んでくれていることもなんとなく伝わってきます。
本当にたくさんの種をもらいました。
ぺいにゃむにゃむ生誕祭2022『ぺいたん2022~ぺ祝~』だってそう。
強くあろうとするぺいちゃんがお手紙で弱かった部分を吐露してくれた上で「守りたいものが増えた」と伝えてくれた時、それは同じ気持ちだよと思ったし、守りたいもの一緒に守ろうって思った。自分が具体的に何ができるかはわからないけど、ぺいちゃんたちが守りたいものを大切にしたいと思う感情が湧いたよ。
それは新しい感情の種なのかもね。
大好きで困った。出会ってよかったって思ったし、私が好きになって楽しい、嬉しいの気持ちでいっぱいになる人があなたたちでよかったし、どうしたら伝わるのか悩んじゃう相手も、あなたたちでよかった。好きになってよかった。この場所を知れてよかった。
二丁魁を私の居場所として出会ってから今日まで繋いでくれていたのは、私に名前をくれたぺいちゃんのおかげでもあるよ。
あの日の一つの種がずっと繋いでくれていたんだよ。

 

あなたが向日葵ならば、あなたが今までにくれた向日葵は
ぺいたんで108本目になりました。

 

本当にいつもありがとう。

ぺいちゃ〜ん。大好き〜。

じゃあ、なえちゃ、朝ごはん食べてくる。バイバイ。