推していいのかわからず占いに行って相談したら幸せになりなさいと言われた

占いに行くまでの経緯を説明させてほしい。
常々、友人から占いに行こうと誘われていた。双方オタクであり友人は「推し関連で何か占いたい」など話していた。先日ようやくお互いの予定が合い、占いに行くことに。
「私は推しより仕事やこれからの運勢を占ってもらおう」と思っていた矢先の出来事だった。
ここから長いのとアイドルとの特典会の話なども出てくるので結果が知りたい場合は目次を活用してください。

約1年ぶりに現場に出戻って3回目のライブ。
私はライブ後の高揚感の中「1周年ライブ楽しかったって言うんだ! ミキちゃんがすごくかっこいい日だったってことも言っちゃうぞ」と意気込んでチェキ撮影に向かった。4人のメンバーが二人ずつ左右に分かれ、その間には二つのビニールの衝立が並ぶ。
その間に私は入り、
「1周年おめでとう〜楽し」
まで言った時。
ぺいちゃんが私のことをまじまじと見ながらこう言ってきた。
「あんた、筆村(栄心)推しだよ」
「え……?」
私が言いかけた「1周年おめでとう〜楽しかった!」は最後まで言えていたのかはあまり記憶にない。

このグループに推しがいなかった

このアイドルグループを知ったのが19年5月。以来、私はメンバーのミキちゃんとぺいちゃんの前で「〇〇推し」と言ったことがなかった。箱推しだなと思っていたけどそれも言ってない、と思う。

しかし、ぺいちゃんから見た私は新メン・筆村栄心推しとのことだった。

正直に言う。
確かにすごくかわいい……。ライブはかっこいいのに話すとほにゃほにゃする時がある。かわいい。

ぺいちゃんが「あんた筆村推しだよ」と言った日、もちろん横に筆村さんがいて、マイペースに「これ見せて」と私が作ってきたプレートをじっと見て指差しながら「ぼく、これほしい」など言っている。
びっくりして息ができなくなるかと思った。死ぬかと思った。
ミキちゃんとひがさんは見てないで明らかに挙動不審になった私を助けてほしい。

筆村さんのことは、かわいいなとは思う。
けどまだよく知らないのでこの時点で推すと明言するのは時期尚早だと思った。
というか、どうしてもこのグループの中で「〇〇推しです!」と言っている自分が想像できなかった。
今まではっきりさせてこなかった、私の二丁魁の「推し」ってなんだろうと悩み始めた。

占い当日、占う前に友人に相談をする

朝。かくかくしかじかと友人に特典会のことを報告し、「筆村さんのことよく知らないし、『かわいい』の気持ちだけでは推しというのは決定打に欠ける」ということを伝えた。

その中で、友人と話していて印象的だった話がある。

私は元々二人推しがいる。6年推している人と、4年推している人。
私はその人たちを自分の軸にしていた。私が推す二人は私の内側にいる。
それを「自分が住む星」というなら、二丁魁を見る時、隣の惑星を見ているような気分だった。
私からその星は見えているけど、あちらからはこちらが見えていないものだと思っていた。
私の星の窓越しから見る二丁魁が綺麗だからそれだけでよかった。
私には私の住む星があって、そこ以外での息の仕方を私は知らない。
二丁魁には二丁魁の住む星があって、そこでの息の仕方を私は知らない。
知らなくても、見えているからそれでよかった。

「他所の惑星だと思って見ていたらドーーンと急接近してきて、自分の内側に入ろうとしてきていることに困惑しているんじゃない?」

友人が言ったこの言葉はその通りだと思う。
他人事として見ていたことが自分のことになろうとしている。

「かわいい」だけでは自分の星の中に迎え入れる合言葉にはならなかった。でも綺麗な他所の惑星からはどうやら私が見えていて、メッセージが届いてしまった。ちゃんと返事をしておきたい。でもどう返事をすればいいかわからない。

ここで決めた。
「そうだ、占ってもらおう!!!!!!」

占ってもらった

「まぁ参考程度に推していいか聞こうかなと思う! 参考だし!! 参考参考!!! ガハハ!!!」
「難儀なオタクしてるねガハハ!!」
と和気藹々(?)と友人ととある場所へ。
来た瞬間からピリッとした空気感があった。我々はその空気感に気圧されつつ、まずは友人から先に占った。
友人は「今の推しを推し続けていいか」と聞いていた。
「私に推すなって言われたいの? それとも推していいよって言われたいの?」
開口一番はここから。その後友人はズバズバと言われていく様を横で見届けた。内容は個人のことなので詳細は省く。
友人は推しのことが大好きだが、そんな友人に容赦無く「今日から推すのやめな」の嵐。私は最終的に笑えてきてしまった。ちなみに私も以前から「降りたほうがこんなつらくならないと思うよ……」と言っていたので概ね占い師の方とは同意見だった。
ただここまで言われているのを見ると、占い関係なく「もしかして私もやめなって言われる?」と思えてきた。
「はいじゃあ、次あなたね」
抜け殻の友人と交代し、占ってもらった。

まずは自分の生年月日と「気になる方(筆村さん)との相性を占いたい」と伝えた。筆村さんの生年月日も必要だったのでwik検索した。まずは私個人を占う流れに。
「あ〜あなたは金運がいいね、金運金運、金運がいいわ。面倒見もいい。あと一つのことに熱中しやすいね。ガーーッと一点集中。そういう時は他に手を出せない。あとアクティブにも程があるわ。アクティブすぎる。誰にも止められないね。他人のことを分析するのがやたらうまい。でも自分の意思が強いから他人には染まらないね。本質に近い愚痴をあまり言わないし人に相談もしない。暗い部分は全部自分で消化してる」
横でずっと赤ベコのように首を縦に振る友人。友人曰く当たってるらしい。
「あとあなたの運勢には緑が足りないね。植物を枯らすわ。サボテンすらも枯らす」
「うわ、昨年サボテン枯らしました……」
当たっている。占いすごい!
感心していると慈悲の表情を私に向けながらこう切り出した。

「今日あなたに会えたから一つ言いたいことがあるわ。……よく今日まで生きてこれたね。頑張ったね。この後は来年の節分まで変わったことをしてはダメ。今のまま、変わらず過ごしなさい。何か変えたら運気がさらに悪くなる。現状維持よ」

私死んでもおかしくなかったらしい。
冗談ではなく心当たりがあるのが怖い。この占い、もしかしてかなり当たるのではという空気になり始める。

哀れまれながら相性を占う

とんでもなく哀れまれ占い師の「本当にかわいそうに……」という表情はそのまま、相性占いの話に。
※筆村さんの占い結果も聞いたのですが(占いといえど)個人的なので詳細は省く。

「あなたはこの人に出会ったのはいつ?」
「以前から存じていましたが、お会いしたのはつい最近です」
「なるほど。これから見ていくのね。……この人は売れますね。今すごく仕事のこと頑張っているんじゃないかな?  そしてあなたは大きくしたい、成長していく人を見守りたいタイプの人。お互い相性がいいわよ!!良かったわね!!」
哀れな人間の近くに相性のいい人間がいたことに喜んでそうなテンションで話す。

ここで一つ疑問が浮かび、この質問をしてみた。
「さっき『来年までは現状維持』とのことだったので、今推していない彼を推さないほうがいいのでは?」
すると占い師は慈愛の顔で
「推さないよりも推したほうが、今のあなたは幸せになれるよ」

“幸せ”と合言葉の発見

一通り占いも終わり、
「あなたは幸せになるために推しなさい。で、そっちのあなたは今すぐ降りな!! 今日やめな!!! その扉出た瞬間やめな!!!! じゃあ、二人ともこれから楽しんで!」
と言われながら退店。
外に出た後すぐに友人と顔を見合わせ話し始める。
「幸せ……???」
「言ってたね!」
「“幸せ”の単語にめちゃくちゃ聞き覚えがある」
「特典会じゃん!」

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筆村さんと、オンライン特典会をした時の出来事だった。
まぁなんかいろいろと話している中で、筆村さんがこう言った。

「本当に幸せだったし、みんなのこと幸せにしようって思った」
私はそれに対して「幸せにしよう、なろう」と言った。
単語にするとそうでもないが、この返事をした時に、心の中で筆村さんの言う「みんな」の中に自分が含まれているという発想がなかった。
後から録音を聞き返すとその時の自分の発する声に、他人事っぽさを感じる(※この特典会は録音・録画が公式で許可されています)。
私の言葉に続けて彼はこう言った。

「一緒にいてくれたら幸せになるからね、僕も。安心してね、ここにいるから。ここが僕の大切な場所だから」

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占い師の『幸せになりなさい』に、その時のことを思い出した。

二丁魁旧体制の頃に現場に通っていたオタクへ、現体制メンバーの筆村さんが「一緒にいてくれたら幸せになるからね、僕も」「安心してね、ここにいるから」をかけられるのは優しいなと思った。
占いをして、筆村さんい言われた言葉が自分の耳に届き始める。
そうなると途端に「かわいい」以外の言葉を筆村さんに言いたくなる。

二丁魁のオーディションを受けてくれて
今日までパフォーマンスをやめないでいてくれて
「ずっと一緒だよ」をたくさん言い続けてきてくれて
ミキちゃんとぺいちゃんの側にずーっといてくれて
もちろん、ひがさんとも一緒にいてくれて
ここが大切な場所だと言葉にしてくれて
未来を思い描いていてくれて
それを私にも伝えてくれて

「うあ〜〜〜、めちゃくちゃ『ありがとう』じゃん!!」

自分の星の中に迎え入れる合言葉を見つけられたような気がした。

これからについて

「推し」と思って見ることにしました。
まだわからないことだらけなのでどんな人で、どんなところが素敵で、私はそれらにどう影響されて好きなのかを言語化できるレベルでちゃんと向き合いたい。
『占い』をきっかけにいろいろと考えた結果推そうと思ったけど、なんだか動機が不純な気がするのでしっかり好きなところを詳細に見ていきたい。
自分の内側にするためにその輪郭をくっきりさせる。
漠然とした「好き」や「かわいい」に頼りたくない。
私には明確な「好き」が必ずあるから、言語化して人にもそれを伝えられるようになりたい。

特典会でぺいちゃんに「筆村さん推しになったよ」は絶対に言わない! なんか恥ずかしいから! 宣言しない! 当分はしらばっくれようと思う。でもぺいちゃんが言ってくれなかったら多分これから先も気持ちが「二丁魁の外野」でいただろうから、引っ張り込んでくれてありがとう。そんなつもりで言ったわけではないだろうなと思うけど!

あと、推しだと思ってもきっとこれからもライブで私がやることは変わらないだろうなって思う。
ミキちゃんの書く歌詞が大好きだから「この歌詞を書いたミキちゃんは天才、同じ時代に生まれてこれて、ミキちゃんの考え方に触れることができて良かった」と思って何回もケチャしちゃうだろうし、ぺいちゃんのパフォーマンスがかっこいいとそっちに気持ちが引っ張られて「うあ〜〜〜!!!!」ってなってケチャするだろうし、元気いっぱい日が紅の、曲に合わせた魅せ方をしてかっこよかったら「うあ〜〜〜〜!!!!」ってケチャすると思う。

それに旧メンバーのきまるくんと白ちゃんを思い出しては「あの時の二丁魁と出会えて、好きだと思えて良かった」って何回もこれから先思うだろう。だってあの時がなかったら今きっと二丁魁のこと見てない。

そういう自分の気持ちの中で、じゃあどうやって相手も私も幸せだと思える応援ができるのか、元気をもらったらその元気を返せるのか、たくさん考える。

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占いに行ってよかった。
ここまで考えることになるとは思っていなかったけど。
占いをきっかけにどうなりたいかに向き合えた気がする。

もし推し事に悩んだら占いに行くのも一つの手だと思う、そんな体験談でした。

おわり。